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散歩しながら楽しい出会いを探しています!


by birdybirdy

友だち ④

ブタが帰ってきた時、ぼくはテレビでアニメを見ていた。
その時 だれかがぼくの部屋のドアをノックしたんだ。
まさかブタだとは思わなかったから
「はーい」
って軽く返事をした。
そしたらドアが そーと開いて、見たこともない薄汚い動物が入って来たんだ。




「どっ、どなた・・・ですか?」
ぼくが恐る恐るたずねると、その薄汚い動物がいきなり、ぼくに抱きついてきて、
キーキーいって泣き出したんだ。
 その時、まさかって思ったけど、そのまさかは やっぱりだったんだ。
「ぼくだよ。ブタだよー」
 ブタは、ぼくの体にしがみついたまま、なかなかはなれようとしなかった。
 そこでごくは、思い切って ブタを突き放すと、もう一度ブタの顔をしっかりと見てみた。
 目は落ちくぼんで、ホホはこけ、全身泥だらけで、おまけに変な匂いが体中からプンプンしていた。
 これでは いくら親友でも、ブタだと気づくワケがない。
「まあ座れよ」
 そういって、机の前にあったイスに座らせると、ブタはやっと泣くのをやめた。
「何か食べるかい?」
と声をかけると、ブタにしては妙にしおらしく、
「うん」
と、うなずいた。
 ぼくは、夜食用に買ってあったカップメンにお湯を注ぎながら、よっぽど辛い目にあったのかなぁ、
可哀想なことをしちゃったなぁと、あんな提案をしたことを後悔していた。
 出来上がったカップメンをブタの前のテーブルに置くと、さすがに以前のブタの目の輝きを取り戻した。
 そして、二口でカップメンをスープごと平らげてしまった。
 カップメンを食べて少し落ち着いたみたいだったので、
「いったい何があったんだい」
とたずねてみた。
 カップメン一つじゃ まだ物足りなかったみたいで、ブタは しばらくあたりをキョロキョロ見回していた。
 でも、もう何もないと分かると、ちょっとがっかりしたみたいな顔をした。
「ちゃんと話したら、台所にあるカップメンを、もう一個やってもいいんだがな~」
 ぼくが交換条件をだすと、ブタは、しぶしぶ話し始めた。

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by birdybirdy | 2006-11-30 09:58 | ・童話