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散歩しながら楽しい出会いを探しています!


by birdybirdy

友だち ③

ブタがいなくなってから ぼくは宿題がすごくはかどるようになった。

いつもは ぼくが机に向かい始めると かならずブタがやってきた。
そして、
「キミ。勉強ばかりしていると体に毒だし、そろそろおやつでも食べようじゃないか」
 なんていって、じゃまを始めるんだ。

 それにブタのヤツは 不思議とその日のおやつ何なのかちゃんと知ってるんだ。

「今日のおやつは ホットケーキだぞ。半分ずつにして食べよう」
 なんていって かってに半分もらうことにきてめいるんだ。





 仕方ないから 半分わけてやると、
「キミの方が多いんじゃないか? キミは何てひどいヤツなんだ」
っていって 必ず文句をいいだすんだ。

 だからぼくは 最初から三分の二か、四分の三くらいに、大きめにきってブタに分けてやっていたんだ。

 だけど、ひどいときなんか、それでも、
「キミの方が多い」
 なんて言い出すしまつさ。
 だからブタがやって来ると、宿題どころじゃなかったんだ。

 ブタがいなくなってから、ぼくは一度も宿題を忘れたことがなかった。
 テストだって まえよりもずっといい点が取れるようになって、学校の
 先生にもほめられるようになったんだ。

 だけど ブタがいなくなって、一つだけ困ったことがあった。
 それはママが、
「タクマさん、近ごろブタさんに 似てきたんじゃありません?」
なんて言い出したんだ。

 たしかにカガミを見ると、ほっぺたのあたりが、ふっくらしてきて、顔全体もまるくなってきた。
 それにお腹だって、前よりずっと大きくなってしまった。本当にこのままじゃブタになってしまいそうだ。

 考えてみるとブタがいた頃は 毎日おやつをブタのヤツに食べられていたから、
知らないうちにダイエットしていたんだ。

 このままじゃあ、ブタが帰ってきたとき、
「キミがブタになった方が、よっぽど早かったね」
なんてイヤミを言われそうだ。

 だけど ぼくが こんな心配をしたのも、つかの間だった。
 だって ぼくがブタになる前にブタのヤツが帰ってきたんだ。
by birdybirdy | 2006-11-20 16:40 | ・童話