人気ブログランキング | 話題のタグを見る

散歩しながら楽しい出会いを探しています!


by birdybirdy

友だち ①

友だち ①_b0009653_2315542.jpg



大きな声じゃ言えないが ぼくにはブタの友だちがいる。

いつから?って聞かれてもこまるけど 気がついたらいつも一緒にいたんだ。

友だちの悪口言うのもなんだけど ぼくは ブタの あのハナと 目と シッポが嫌いだ。

「そこんとこ なんとかしてよ!」
って ときどき言ってやる。

するとブタは
「ぼくだって気にはしてるけど、なにしろ根がブタだから・・・」
 なんて言って いっこうに悪びれる様子もない。

「そんなにブタみたいにしていると もう遊んでやらないぞ!」
っておどしてやる。

すると
「どうしてそんなに冷たいことを言うんだ。君は、ボクの親友じゃないか!」
っと言って恨めしそうな顔をする。

そうなんだ。
ぼくにとっても、ブタは、だいじな友だちなんだ。

ぼくは、ブタと友だちでいられるんなら、自分もブタになったっていいとさえ思っている。
ウソじゃないんだ。

だけど、ブタにだってぼくは たった一人の人間の友だちなんだから もう少しボクの言うことを
聞いてくれたって いいと思う。





でもね。
ぼくがブタに一番なおしてほしいことは ブタの見た目なんかじゃないんだ。

ぼくがブタになおしてほしいこと・・・。
それは ブタの食べ物への「シューチャク シン」のなんだ。

「シューチャク シン」だなんて むずかしい言葉をつかうけど この言葉は 
ブタにピッタリの言葉だと思う。

この前も ぼくがママからおやつに ふかしイモをもらったとき、ブタと半分ずつして食べようと
思って ブタの所へ持っていったんだ。

ブタときたら、ふかしイモを見つけると とたんに落ち着きがなくなってしまった。

そしてぼくが イモを半分に割ると まだあげるともなんとも言ってないうちに 
いきなりぼくの手から ふかしイモをひったくった。
そしてキーキー言いながら いっきに自分の口の中へねじこんだんだ。

ブタのふかしイモは あっという間になくなってしまった。

だけどブタは まだものたりないらしくて 前足のウラなんかを ペロペロとなめていた。
そして 右と左の両方の前足をなめおわると、ふと 棒立ちになっている ぼくのことに
気づいたんだ。

そのときのぼくは、ブタのあまりの早わざに あっけにとられて ボーとしていた。
きっとすこし青ざめていたと思う。

だってブタが、あんなにすごい顔をして物を食べるところを 初めて見たんだから。

だけどブタの目は、ぼくの顔色に気づく前に ぼくの手ににぎられた 残りのふかしイモの方へ 
くぎ付けになってしまった。

ブタは ぼくの体にすりよってくると

「君は お腹でも痛いのかな? おイモは 消化にいけないからね~」
なんて ブタのクセに ネコ撫で声で話しかけてきた。

そして ぼくがまだ なんにも返事をしていないうちに、いきなりぼくのふかしイモに
かぶりついてきたんだ!

ぼくのふかしイモと両方の手は、いっぺんにブタの口の中に 吸いこまれてしまった。

「ギャー!」

ぼくは、悲鳴をあげて、あわてて両方の手を ブタの口からひき抜いた。
だがそのときには、ぼくのふかしイモは ぼくの手から 影も形もなくなっていた。

それでも なんとかぼくの10本の指が 全部ぶじだったのは 不幸中のさいわいだった。

とにかくブタのやつは 食べることとなると、ジンカク、いやトンカクをなくしてしまう。

それがなければ、本当にいいやつなんだけど・・・。





                  つづく・・・かも


人気blogランキングへ
by birdybirdy | 2006-11-11 23:29 | ・童話